旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
今日のふるごと -79-

 田村王子白して言う。人を殺すは是れ悪なり。人を治むるは是れ善なり、と然 定まるもの歟と。曰く、爾りと。白して言う。盗賊の衆を劫(おびやか)し、暴者の人を殺す。是れに至って、人を治せば以て善と為す歟。
一を殺し多くを活かす、是れ善なり。亦、夫れ未だ盡せず。天皇は天下の盗暴を無からしめ公に国家の元を造るは、首長は屋戸の盗暴を无ら令め、庶者は子弟の盗暴を無から令め、皆仁を以て之を治し、義を以て之を導くは、是れ焉れ身の徳に在らむと。

「御語本紀」より

 田村王子は殺人そのものを悪と決めてよいかどうか釈然としないものがあって聖徳太子に問われた。太子はそうであると教えられた。次に治者の殺人に対しての善悪を問われた。世を刧すというのは力づくで財物を奪取し世人に害を与える者を指し、暴者は無怯の殺人を指す。たまり兼ねて万事極まり、それを片づけることを治むと表している。殺人は悪というが、そのような場合は殺すことを善といえるかどうか問われた。
 一殺万生の善もあろうが、それは善の最善を尽くしてはいない。人それぞれに身に与えられている天性である。仁智義礼信の五徳である。その立場に在って治める。それが相互し初めてその国が安全なのである。今日の如く衆庶(もろびと)が家々に無法者を出して何の互活か、という警句である。五徳という天性を以ての治世を怠り、裁可にこだわるは本末転倒と教えられている。

※田村王子はのちの舒明天皇の皇太子時の御名。

会員ページ

旧事本紀研究会の会報バックナンバーを会員限定で公開しております。

会員ページへアクセス